サルタックの教育ブログ

特定非営利活動法人サルタック公式ブログ。教育分野の第一線で活躍するサルタックの理事陣らが最先端の教育研究と最新の教育課題をご紹介。

畠山勝太

サルタック理事、ミシガン州立大学教育政策大学院博士課程在籍。1985年、岐阜県平田町(現海津市)生まれ。東京大学教育学部卒業後、神戸大学国際協力研究科へ進学(経済学修士)。修士課程在学中の2008年より世界銀行本部で勤務を始めた。2012年に国連児童基金(ユニセフ)ジンバブエ事務所に赴任し、その後本部・マラウイ事務所勤務を経て、現在に至る。 得意分野 教育統計・教育セクター分析・教育の経済分析・教育とジェンダー(女子教育)

意外と難しい教育セクターでのランダム化比較試験(RCT)の実施

その教育政策議論、ランダム化比較試験(RCT)をすればいいだけじゃん。というセリフを耳にする頻度が増えてきたように感じます。確かに、勘や経験に基づく議論に比べればマシなのは間違いないですし、単純な使用前・使用後の比較と違い厳密さも高いです。 し…

日本の教員配置システムが優れている理由ー過度に分権化すると避けられない問題点

教育予算の7-9割程度は人件費に消費されているので、教育予算という観点から見ると、教員をいかにマネージ(例えば、少人数学級制度の実施なども、その本質は教員の数を増やす→人件費の増加→教員を増やした分教員給与を削るのか、それとも教育予算全体の増加…

文部科学省汚職と競争的資金を、オバマ政権の経験から考える

こんにちは、畠山です。今週の担当者も本業の締め切りに追われているのでまた私の登板です(権藤、権藤、雨、権藤…)。 大変残念なことですが、連日文部科学省の汚職問題がメディアを賑わせています。いくつもある汚職事件の中でも私が特に気になっているのは…

現在の国際的な潮流の中で、女子教育をもう一度考え直す

こんにちは、畠山です。先々週に登板したばかりですが、急遽代打で再登場です。この前、世界銀行から女子教育に関するレポートが発表されたことですし、今日は女子教育の話をしたいと思います。具体的には、1. なぜ女子教育が重要なのか、2. 女子の就学状況…

ビルゲイツやザッカーバーグは救世主なのか、それとも破壊者なのか?-教育政策における新たな利益団体の話

みなさんこんにちは、畠山です。日本でもマイクロソフトのビル・ゲイツ氏やFBのマーク・ザッカーバーグ氏は知名度が高いと思いますが、近年この両者は教育政策分野においても注目を集めています。この両者と教育政策と言えばICTと教育でしょ?、と思われるの…

学校にエアコンなんて贅沢か?-温暖化が進む世界で子供達の学習環境を考える

先月、NBER(全米経済研究所)のワーキングペーパーで、暑さが子供の学習成果に与える影響を分析した研究が公表されました(Heat and Learning)。試験日に天気が悪いと、テスト結果が悪くなるという分析はちょこちょこ出ていたのですが、これは試験当日ではなく…

障害児をクラスメイトに持つと学びが阻害されるのか?-障害児教育の教育経済学

今学期の授業も全て終わり、ようやく留学一年目が終了しました。今学期は教育経済学(基礎編)の授業があって、その最終課題として障害児教育の教育経済学を選んで分析しました。今回の投稿はそれの先行研究分析部分の一部をご紹介したいと思います。 このブロ…

教育の質を改善することが、教育へのアクセスを改善するためにも重要である国の話

途上国の教育省を支援する際に、どの教育段階をどれぐらい支援するのかなど戦略は多岐に渡るのですが、大きく分かれるポイントは教育へのアクセス改善のための支援を実施するのか、それとも教育の質改善のための支援を実施するのか、になります。なぜなら、…

幼児教育の費用は政府と保護者、どちらが負担すべきなのか?

幼児教育は効果的だ、という議論は日本にも伝わり過ぎている程ですが、「効果的」という単語が指すものが実はマチマチだったりします。例えば、前回の教員免許制度は不必要か?ー日本に雑に伝わった教育経済学の議論を再考するの中で、いくつか回帰分析の結果…

教員免許制度は不必要か?ー日本に雑に伝わった教育経済学の議論を再考する(国際教育協力も絡めて)

この記事はやや長いですが構成は下の通りになっています。教員養成にだけ興味がある方は1-3を、教育経済学にだけ興味がある方は4を、国際教育協力にだけ興味のある方は5を、全部に興味がある方は全部お読みください。 0. はじめに 1. 教員免許は不必要? 2. …

国際比較教育学は終わった学問か?―日本は外国の教育から学ぶ必要などないのか?

はじめに―日本は外国の教育から学ぶ必要などないのか? sarthakshiksha.hatenablog.com 上にある前回の記事の末尾で少し触れましたが、米国では教育の国際比較はもういらないのではないか?、という議論が巻き起こっています。この議論は、国際比較教育学の重…

幼児教育無償化から考えるーアメリカの研究結果は日本にとって妥当なのか?

現在幼児教育無償化に関する議論が進んでいますが、これに大きく影響を与えているのが、ノーベル経済学賞受賞者のヘックマン教授の一連の研究です。 ヘックマン教授の研究によると、貧困層を対象にした良質な就学前教育の収益率は10%を超えてきます。学力改…

マラウイの教育の質と内部効率性の問題-SACMEQの結果から

今日はネパールから少し離れて、ここマラウイの教育の話をしてみたいと思います。 マラウイでは、初等教育の純就学率は既に100%近いところまで来ていて、次の教育課題は中等教育の女子教育・教育の質/内部効率性・就学前教育と言われています。

データで見るネパールの教育2: 教育の効率性-前編

前回の「データで見るネパールの教育1:就学編」では、ネパールにおける教育へのアクセスの問題を取り上げましたが、今回は教育の質に関連する問題である教育の効率性ついて、最新の教育統計(EMIS: Educational Management Information System)のデータを活…

データで見るネパールの教育2: 教育の効率性-後編

前回はネパールの教育の効率性について、退学率と留年率の観点から紹介しました。今回は、コーホート再構築法を用いた分析から、ネパールの教育の効率性について紹介しようと思います。

データで見るネパールの教育1:就学編

サルタックが活動しているネパールの教育状況を、最新の教育統計(EMIS: Educational Management Information System)のデータを活用しながら、数回に分けてご紹介していこうと思います。