サルタックの教育ブログ

特定非営利活動法人サルタック公式ブログ。教育分野の第一線で活躍するサルタックの理事陣らが最先端の教育研究と最新の教育課題をご紹介。

インターンによるネパール訪問記

こんにちは!
サルタックインターンの石川です。

私は先日、機会を得てサルタックのネパールオフィスとサルタックがサポートしている学校を訪問してきました。
今回の滞在は移動日含めて 6 日間と限られたものではありましたが、
滞在中に現地で感じたことを写真を交えながら、お伝えしたいと思います。
なお、今回の記事の内容はあくまで個人の感想です。訪問した学校が 1 校のみであったことや、滞在期間の短さ等から、全体感を反映していない見方となってしまっていることも考えられます。予めご容赦ください。

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訪問先の Bal Vinod Secondary School

滞在期間

2018年8月31日(金) - 9月5日 (水)

現地で私がおこなったこと

  • 学校訪問 (3回)
  • 生徒の家庭訪問 (2家庭)
  • 日本の文化と社会についてのレクチャーを実施
  • 英語の授業見学
  • サルタック学習センターのボランティア
  • 先生および親にインタビューを実施

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先生へのアンケート用紙

滞在中に感じたことや学んだこと

ネパールの子供達が抱えている課題

子供達が抱えている課題として、やはり家庭環境が挙げられます。
私の訪れた学校は、国内移民のこどもが多く、親が日雇い労働者として働いている家庭も多くありました。
カトマンズ市内の公立学校は、移民が9割以上を占めているといいます。
公立学校を支援すること自体が、どこにも行けない子供を支援することになるといいます。
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通学路の様子

授業について

私は滞在中に、英語の授業を見学させてもらうことができました。授業は一コマ 45 分間です。
その授業では、英語の課題文の内容の説明を英語でレクチャーしていました。
課題文の内容は、実存主義に関する哲学の話でした。アルベール・カミュの思想などを説明していたのですが、非常に平易でわかりやすい説明でした。
その後、フランス革命から第二次世界大戦に至るまでの歴史の概略を英語で説明していました。生徒のエンゲージメントは非常に高く、活気あふれる授業でした。
一方で、”existensialist”という単語の説明でまるまる1コマ使っていたため、どのようなカリキュラムが組まれていて、どの程度カリキュラムの進捗に寄与していたのかは疑問が残りました。

図書館について

図書館は本が平積みになっており、使われてる形跡は少なかったです。
読みたい本を簡単に見つけられるよう整理する必要があると感じましたが、一度きりではなく継続的に管理できるよう、日本でいう図書係や図書委員会のようなグループを生徒内でつくれると良いのではないかと感じました。
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学校の図書館

進級テストについて

年に一度進級テストがあり、生徒にとっても、学校側にとっても進級テストの結果は非常に重要です。
授業料は無料にも関わらず、進級テストは有料ということに驚きました。

学校の設備について

日本の社会や文化について紹介してほしいという依頼を学校側からいただき、授業しました。
YouTubeの日本に関する動画や、パワーポイントのスライドを見せて紹介をしたかったのですが、学校にはインターネットもプロジェクターもなく、結局ホワイトボードのみで授業を行いました。インターネットと学校の設備は教育のインプットの質をたしかに変えると実感したできごとでした。ただし、やみくもに導入するのではなく、しっかりと活用方法も含めてデザインすることが重要ということは、過去のいくつもの研究によって例証されているとおりです。
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日本についての授業の様子

生徒数について

先生曰く、生徒は200人ほどということでしたが、訪れてみた限りは200人もいるようには見えませんでした。
全体の正確な生徒数を把握することが困難である、ということも実際に訪れて初めて知ったことでしたので、非常に驚きました。
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元気いっぱいの子どもたち

教員の質について

ネパールの教育の課題のひとつとして、教員の質が挙げられます。
全国に教員養成大学はたくさんありますが、あまり実践的ではなく、学歴を得るためだけの大学になってしまっている側面もあるそうです。
ネパールには教員免許制度は存在しますが、簡単すぎてあまり機能していないと言われています。
また、ネパールには非正規職員の教員も多くいますが、非正規教員には正式なトレーニングを実施しないため、教育の質の低下に繋がっている恐れがあります。
また、特に理数系の科目では優秀な教員が不足しており、教育を受けた人材は学者やエンジニア等のより給与水準が高く、社会的な位置付けの高い職業を目指すために、人材が不足しているそうです。

サルタック学習センター (SLC) について

サルタックでは、子供たちに質の高い教育を提供するため、サルタック学習センターをネパール国内に開設しています。
私が訪れた Bal Vinod Secondary School の学習センターは、土曜日を除く毎日 15時 ~ 17時の間実施されていました。
サルタック学習センターの実施内容はいわゆる補講クラスに近いですが、
家庭では学習の機会が少ないこどもたちに教育の機会を提供することも目的としています。
ここでは、サルタック学習センターの概要と課題についてご紹介します。

設立の目的:

To build a model which can ensure grade level learning through child friendly learning space and support to its beneficiaries, particularly students of grade one to five of community schools.
コミュニティの学校に通う1年生から5年生の児童を対象に、児童にフレンドリーな学びのスペースの開設および親や学校へのサポート提供を通じて、学習段階に応じた学習を保証するモデルを構築すること。

背景:

現在、多くの途上国では、子どもたちの保護者が十分な教育を受けていないケースが多く、家庭において教育の価値が認められない、あるいは認められていても子どもを支援できないことにより、家庭における子どもたちの学習が妨げられているのが実態です。そこで私たちは、各地域に学習センターを設立し、家庭で十分な学習を行えない子どもたちに対して日々の学習機会を提供していきます。
サルタック・ジャパン HP より

サルタック学習センターの特徴:
  • 質の高いファシリテーターによるプログラムの実施: ファシリテーターへのトレーニングプログラムの提供を通じて、質の高い教育を実現します。
  • 評価制度: サルタックがLiteracyとnumeracyの評価を実施し、活動内容に反映します。
  • 充実したサポート: 子供への教材のサポートを行います。
  • ステークホルダーとのコラボレーション: ファシリテーターが親やその他のステークホルダーと協力し、学習効果の向上を測ります
  • 子どものポートフォリオの作成: サルタックでは、児童一人一人のポートフォリオを作成することで、生徒に合わせた教育を提供します。
サルタック学習センターでのプログラムの流れ:
  • 集合
  • みんなで手を繋いで国歌を斉唱
  • ピースデベロップメント (勉強・発言しやすい雰囲気づくり)
  • 日々のできごとについてシェア・ディスカッション
  • 宿題の時間
  • 読み聞かせと発表 (Public Speaking) の練習
  • 教育ゲーム
  • 出席確認
現状:

私が訪れた際には、ややリソースが不足している感じられました。
ファシリテーター 1 人に対して、生徒が 20 人くらいいるため、なかなか全員には目の行き届かない状況でした。
学習センターはみんなで手を繋いで国歌を歌うところからスタートします。その後はそれぞれのグループに分かれて各自学習の時間です。
各グループには、年長の生徒がバランスよく混ざるようにしており、年少の生徒の学習をサポートできるよう工夫がされています。
しかし、何人かの子供達は何をしたら良いのかわからず、なかには暇を持て余して自分のノートに落書きしたり、遊んでしまっていた子も見受けられました。
効果的なプログラム実施のためには、ファシリテーターへのトレーニングとサポートが必要であり、そのためには引き続き日本オフィスからの継続的な支援も重要だと感じました。
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まとめ

今回の滞在では、短い期間ながらも、学校や家庭を訪問することができ、非常に充実した時間を過ごすことができました。
訪問の目的として、サルタックが教育の支援をしている子どもたちがどのような生活を送っていて、日々何を考え、学校ではどのような時間を過ごしているのか知りたいというものがありました。
実際に子どもたちに会ってまず感じたことは、子供たちの底抜けの明るさと有り余っているエネルギーの強さでした。
しかし、学校の先生にインタビューをしたり、家庭訪問をして親の話を聞く中で、様々な課題についても知ることができました。
今回の訪問で私が一番感じたことは、学校の先生たちは自分が正しいと思う教育を行おうとして頑張っている、ただし、マネジメントが足りていないのではないか、という点でした。
よく言えば先生一人一人が自由、悪く言えば方向性がバラバラだと感じました。
先生たちに行なったアンケートの質問の中に、「あなたの学校の抱える課題は何ですか?」というものと、「もし学校について何か一つ何でも変えられるとして、あなたなら何を変えますか?」という質問がありましたが、先生たちの回答には相当ばらつきがあり、また、生徒のために〇〇を変えたい、という回答もあれば、学校のために〇〇を変えたい、という回答もありました。
現在ネパールの教育は地方分権化の過渡期にあり、トップが強いリーダーシップを発揮することは難しいのかもしれません。
しかし、その影響を子供たちがネガティブに被ることはあってはならないと思います。
サルタックの活動が、子どもたちの持つエネルギーを、彼らの未来を切り開く方向へと促す一助となることを願います。

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